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【EVE活シリーズ】戦いません。 – FLIP SLAY

【EVE活シリーズ】戦いません。 – FLIP SLAY

数年前に一度やってみたものの、すぐにリタイアし、半年前に改めてEVEを始めた私です。

そんな私の活動はひと言で言うと「文系」です。マッチョな感じで日々戦い続けるコープメンバーの皆さまを羨ましげに眺めつつ、ユルーいロールプレイを綴るWebサイトの更新をするというのがもっぱら活動の中心となっております。

というわけで、サイトを見ていないとさっぱり訳がわからない、自己中なRP的活動報告をお送りいたします。

EVE Online 箱庭宇宙の構成分子

https://flip365.net/eveonline/

☆★☆ …………★☆★

星の海を奇妙な雪が飾る季節。

University of Caille人類学部第七調査班首席研究員である私、サーレン・アルマは、Jita近郊にあるふりっぷ&なおみん博士の製造施設を訪れていた。

「年の瀬だねぇ……」

ふりっぷの年寄り臭いつぶやきに、なおみん博士はいつものようにツッコミを入れる。

「なにほっこりしてんのよ? わたしたち個人事業主には年末年始なんて関係ないのよ!」

「い……いや、でもさ、今年は色々あったしちょっとくらいいいじゃないか……。年末年始くらいゆっくりほっこり……」

「何言ってんのよ! 皆が休むお正月こそフル回転に決まってんでしょ!」

「ええぇ……」

私はそんな二人のやりとりをあきれたような、でも少し和んだような気持ちで眺めつつ、この三人が揃って新たな一歩を踏み出したこの一年を心の中で振り返るのだ。

まずはふりっぷ。

数年前、カプセラになったものの、ずっと地上でくすぶっていた彼が、ようやく宇宙に飛び出したのは半年くらい前だったか。ガレンテ人なのに節操なく色んな国のエージェントから依頼を受けてはこなす日々。

毎日のように嬉々としたFTL(超光速)通信が私の元にも届いていたっけ。正直、研究の邪魔だった。

そして、そんなふりっぷに宇宙に引っ張り出されたのが、なおみんね。

戦いの才能もなければ、戦いで功を上げる意欲も実はそれほどなかったことに気づいてしまったふりっぷの口車に乗せられ、製造業を立ち上げることになってしまった彼女。

その当時、私はふりっぷの適当さにはもちろんだけど、なおみんが安請け合いしたことにも呆れたものだった。友達の選択を間違ったかもしれないと、ほんの一瞬だけど考えてしまったことはふたりにはナイショ。

それからのふたりは大して儲かってはいないみたいだけど、それでも、何というか。……うん、楽しそうだった。

なおみんは毎日のように新たな研究に取り組んだり、作れるようになった物を片っ端から製造ラインに乗せている。

資材の運搬にも慣れてきたようで、端から見るとなかなかいっぱしの製造業者に見えないこともない。

でも実のところ、小規模事業ならではの効率の悪さから、普通に作って売るだけではなかなか儲からない。

そこで、ふりっぷは言い出しっぺの責任を取らされて、NEW EDEN中を駆け回って探検という名の資材集めにいそしんでいる……。

まさに自転車操業なんだけど、それでもやっぱりふたりとも活き活きしているように、私には見えたのだ。

教授会の要請にも首を縦に振らず、カプセラになることを拒んできた私が、AIRの新人カプセラ養成プログラムに応募したのは、そんなふたりを見ていたからだと思う。

何はともあれ私もふたりと同じように、宇宙を舞台として生きることとなり、今に至る……。

「ちょっと! サーレン!」

しばらくふたりの漫才を聞き流しつつ回想に浸っていた私だったけど、そんな回想をぶった切って、なおみん博士が私に話しかけて……いや、怒声を浴びせてきた。

「アンタ、どう思う!? このトーヘンボク、また墜とされてやんのよ! いつまで経っても、儲かりゃしないわよ! マッタク!」

とても私への質問だとは思えないような問いかけだったけれど「どう思う?」と言われたからには、答えよう。

ごめんね? ふりっぷ。

「墜とされた分、年中無休で頑張って挽回するべきね」

我が意を得たりと満足げに頷くなおみん博士。そして、絶望に満ちたまなざしでこちらを見つめるふりっぷ。

「キマリよ! ふりっぷ! 年末年始、いっぱい材料集めてきなさいよね!」 「まーじーでー……」

私は日々NEW EDEN各地から蒐集した資料や文献を整理し、編纂・翻訳を進めている。

これはもちろん私たち第七調査班の任務である。でも私個人としても、この世界のことをもっとよく知りたいと思うし、それを多くの人々、もちろん宇宙を駆けるカプセラ達にも知ってもらいたいと思う。

そのためにも、カプセラになって宇宙へ飛び出し、資料に基づく現地調査を進めている今の活動は、とても意義があると思うし、何よりも、楽しい。

私は本当はわかっている。私はふたりのことが羨ましかったんだ。

でも、もう羨ましくなんかない。

今や私だって、ふたりに負けないくらい楽しんでいるのだから。

そんな私の心を知ってか知らずか、ゴキゲンになったなおみん博士が私に言った。

「サーレンもさぁ……なんか最近イイ感じみたいだね!」

ふりっぷも頷いている。

「さあ、どうかしらね?」

わざとそっけなく答えた私だったけど、残念ながら私の表情は「イイ感じよ!」って答えてしまっていたに違いない。

騒々しく年は暮れ、そしてまた新たな一年が始まる。

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